僕の見た「大日本帝国」

もともと、いわゆる十五年戦争には興味があるし、東アジア諸国と日本の関係にも関心があったけど、この本のことは全然知らなかった。たまたま書店で見かけて、思わず買ってしまった。

この本は、サハリン、台湾、朝鮮半島満州、そして南洋諸島と言う戦前に日本が支配した地域に残る日本の痕跡を「見て」歩いた旅の記録だ。だが、日本が残した建造物だけではなく訪れた地で出会った人たちから「聞いた」話も記されている。

こういう本を書くときには「反日(戦前の日本を一方的に批判する)」あるいは「親日(日本の支配をよしとする)」どちらかの立場に立つんだけど、著者は自分の価値判断を最小限にとどめ見たり聞いたりしたことを淡々と記述してることがこの本の成功の要因だと思う。


感想を一言で言えば、ぼくがやってみたいことを先にやられてしまったということが正直な感想だ。


最近、中国や韓国で反日感情が高まっているけど、これは政府の思惑に関係しているんじゃないかと思っており、一般の市民はどう感じているかを肌で感じてみたいと考えていた。調整が付けば、夏休みの韓国に遊びに行くつもりだったのに、著者の西牟田さんの方の実行力に負けたっていう感じだ。

第二次世界大戦が終わってもう60年も経った。僕たちの世代も含め戦後生まれの世代にとっては、過去の日本の植民地支配には責任はない。だけど、外国の人と対等に話をするためには、その時代のことを知っておくべきだ。この本はそのための一助になると思う。


僕の見た「大日本帝国」

僕の見た「大日本帝国」