野ブタ。をプロデュース

久々にいわゆる文芸作品を読んだんだけど、この野ブタ。をプロデュースは喪失を感じさせてくれる佳作だった。ぼくが、喪失感を残してくれる小説や映画などの作品に感動させられることが多いが、なかなかそういう作品に出会う機会はない。


キャッチャーとか、初期の村上春樹の作品に現代(いま)風の題材を持ち込んだ感じの内容だった。この手の作品で重要な主人公の男の子の心理描写は、とても上手くできたいたと思う。ただ、ストーリーはまとまりすぎていて、結末が簡単に予想できたことが残念だ。


それにしても、作者は1983年生まれですか。ぼくとは世代のかなり離れた作者の語ることにそれほど違和感がなかったから、綿矢りさなどこの世代の作者たちの作品を受け入れることができると分かった。そのことが、野ブタ。をプロデュースを読んだことの一番の収穫かな。でも、ぼくは、白岩玄綿矢りさの前の世代の作品も読んでいないから、阿部和重あたりから始めることにしようかな。

野ブタ。をプロデュース

野ブタ。をプロデュース