読んだ

軍人が政治家になってはいけない本当の理由 政軍関係を考える (文春新書)

評価は★★★★(満点は★★★★★) 日本が置かれた軍事的状況に即して政軍関係を語る良書だった。いわゆる十五年戦争期の本をよく読むんだけど、目的がはっきりしていなかった。政軍関係という切り口で当時の状況を読み解きたいことが、知りたいことだと気づかされ…

ユートピア

評価は★★★★(満点は★★★★★) 最後に「真相」が明らかになり、読みながら築き上げた物語感が崩壊する。それが、カタルシスに感じるところが湊かなえ作品の魅力だ。しかも、「健吾くんはどうなったの?」など、まだ謎が残る余韻がいい。ユートピア作者: 湊かな…

軍事のリアル (新潮新書)

評価は★★★(満点は★★★★★) 文章は退役軍人の茶飲み話的な雰囲気があった。でも、内容は元幹部自衛官ならではの「リアル」さがある。主張に同意できない点もあるけど、参考になった。軍事のリアル (新潮新書)作者: 冨澤暉出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017…

南谷真鈴 冒険の書

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 20歳にしてセブンサミッターになったと知ったときは恵まれた環境で育ったんだろうと思っていた。でも、そこを出発点として目標を達成する意思とバイタリティの強さがあると感じた。まだ若いので、彼女がこれから何を成し遂げるの…

検察側の罪人 下 (文春文庫)

評価は★★★★☆(満点は★★★★★) 圧巻の読み応えで年末に良い贈り物をもらった気分。キャリアは全て失ったけど、最上の残りの人生に希望が感じられるのでほっとした。ただ、「犯人」のゲスっぷりを見ていると、沖野の行動にやるせない物が残る。検察側の罪人 下 …

検察側の罪人 上 (文春文庫)

評価は★★★★(満点は★★★★★) 最上にどっぷり感情移入してしまい、先を読むのがつらい。検察側の罪人 上 (文春文庫)作者: 雫井脩介出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/02/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る

月光のスティグマ (新潮文庫)

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 面白く読めたけど、中山作品としては普通の出来かな。アルジェリア・パートが作者らしくなく、気になった。月光のスティグマ (新潮文庫)作者: 中山七里出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/06/28メディア: 文庫この商品を含むブ…

罪の声

評価は★★★★(満点は★★★★★) グリコ森永事件はリアルタイムで知っているはずなのに、それ程印象に残っていない。関西メインの事件だったからかな。作者に力量を感じたので、次の作品も読んでみることにした。罪の声作者: 塩田武士出版社/メーカー: 講談社発売…

最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常

評価は★★★(満点は★★★★★) 音校と美校って一括りにできないくらい違うんだ。ただ、どちらの学生もアートに真剣に取り組んでいることを感じる。最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常作者: 二宮敦人出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/09/16メディア:…

天涯無限 アルスラーン戦記 16 (カッパ・ノベルス)

評価は★★★★(満点は★★★★★) 完結編まで読めてほっとしている、それが正直な感想だ。点数は30年の付き合いを含めたおまけ。色々書きたいことはあるけど、続編がありそうなエンディングじゃない点は評価する。天涯無限 アルスラーン戦記 16 (カッパ・ノベルス)…

増補版 - 箱根駅伝 - 世界へ駆ける夢 (中公新書ラクレ)

評価は★★☆(満点は★★★★★) 箱根駅伝を走ったランナーの列伝。箱根駅伝を広い視点で捉えたものを読みたかったから、ちょっと期待外れかな。増補版 - 箱根駅伝 - 世界へ駆ける夢 (中公新書ラクレ)作者: 読売新聞運動部出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 20…

希望荘

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 短編集である分、物語の毒が減っている。それに、菜穂子がでてこないからイライラすることもなく読めた。希望荘作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 小学館発売日: 2016/06/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (19件) を見る

玉依姫 八咫烏シリーズ 5

評価は★★★★(満点は★★★★★) いちおう番外編なんだろう。でも、前巻までの謎の一部を解明しているし、本筋の展開に関係しそうな感じもする。次巻はいよいよ第一部の最終巻だ。早く順番が回ってこないかな。玉依姫 八咫烏シリーズ 5作者: 阿部智里出版社/メー…

鹿の王 4 (角川文庫)

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 設定はしっかりしているし、物語の世界観も面白い。ただ、『獣の奏者』ほど引き込まれるストーリーじゃなかったことが惜しい。鹿の王 4 (角川文庫)作者: 上橋菜穂子出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2017/07/25メディア: 文庫こ…

おうちで学べるセキュリティのきほん

評価は★★★(満点は★★★★★) セキュリティについて知るために1冊目に読む本としてはお勧め。おうちで学べるセキュリティのきほん作者: 増井敏克出版社/メーカー: 翔泳社発売日: 2015/07/03メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見る

デンジャラス

評価は★★★★(満点は★★★★★) 語り手である重子は千萬子と谷崎の関係の特異性を言い続けているけど、ぼくからすると重子にストーカーっぽさを感じて怖い。 谷崎の未読作品は全部読まなきゃ。デンジャラス作者: 桐野夏生出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2…

鹿の王 3 (角川文庫)

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 感想は最終巻で。鹿の王 3 (角川文庫)作者: 上橋菜穂子出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2017/07/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る

鹿の王 2 (角川文庫)

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 感想は最終巻で。鹿の王 2 (角川文庫)作者: 上橋菜穂子出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2017/06/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る

鹿の王 1 (角川文庫)

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 感想は最終巻で。鹿の王 1 (角川文庫)作者: 上橋菜穂子出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2017/06/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る

人工知能の核心 (NHK出版新書 511)

評価は★★★★☆(満点は★★★★★) 将棋という枠にとらわれず人工知能について語られている。人工知能と社会の関わりを知るには最適な入門書だと思う。 本書も素晴らしいけど、羽生という人の見識の高さに驚かされる。人工知能の核心 (NHK出版新書 511)作者: 羽生…

コンビ

評価は★★★★(満点は★★★★★) シリーズのこれまでと同じく、モノローグにより淡々と語られている。ドラマティックなラストはなく、フェードアウトという感じ。他で情報を得ていなかったら、これでシリーズが終わりとは気がつかないだろうなぁ。コンビ作者: 畑…

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

評価は★★★★(満点は★★★★★) 過去に比べると未来への言及は深みが足りない。資料が少ないのと、自分で予測することになるから仕方がない。まぁ一つの説としてはためになる。 著者がヴィーガンであるんだけど、畜産への批判が厳しすぎるような気がする。サピエ…

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

評価は★★★★(満点は★★★★★) 影響を受けていると言っているだけに、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』と似たテイストを感じる。あちらが地域差という横軸視点とすると、こちらは縦軸視点か。なぜ、ヨーロッパがと言う問いの答えはこちらの方が深掘…

カロリー制限の大罪 (幻冬舎新書)

評価は★★(満点は★★★★★) ロカボに対する反論もあるはずなのに、それらへの言及がない。それに書いてあることは前に読んだ物と変わりがない。ロカボを否定するわけじゃないけど、もうこの著者の本は読む必要はなさそう。カロリー制限の大罪 (幻冬舎新書)作者…

ゼロの迎撃 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 法律を守ろうとすると防衛出動するだけでも大変なんだと思い知らされた。この部分のシミュレーションはよく書けているけど、真下とハンの戦いは迫力に欠けていた。 ラストの急展開はびっくり。あの終わり方だと放り出されたと感じ…

大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争 (幻冬舎新書)

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 本書でも取り上げられている『大本営発表の真相史』を読み、現代と大本営発表との関わりを知りたくて手に取った。 負けが込んでくると国民への影響を考え、詳しい戦況を隠そうという意図は理解できる。ただ、戦果を捏造するのはや…

時限病棟 (実業之日本社文庫)

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 『仮面病棟』の続編といえるかな。舞台は同じだけど、登場人物やストーリーはほとんど関係しない。 脱出ゲームの緊迫感と複数階層から構成される謎解きが上手に融合している。前作ほどの衝撃はないけど、十分に楽しめた。 シリー…

刑事の約束 (講談社文庫)

評価は★★★★(満点は★★★★★) 夏目シリーズの続編。どの作品も読後感が重い。特に、裕馬が登場する表題作を読んでしまうと、このシリーズがますます重苦しくなりそうで気になる。とは言っても、続編が楽しみでもある。刑事の約束 (講談社文庫)作者: 薬丸岳出版…

炎路を行く者: 守り人作品集 (新潮文庫)

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 本編で謎めいていたヒュウゴの過去の物語がうれしい。大好きな作品なので、これからも登場人物達の番外編を少しずつでいいから書き継いで欲しい。炎路を行く者: 守り人作品集 (新潮文庫)作者: 上橋菜穂子出版社/メーカー: 新潮社…

分水嶺 (祥伝社文庫)

評価は★★★☆(満点は★★★★★) 作者の山岳小説は安定感があるので、外れがない。ただ、トムラウシ遭難のルポを読んだばかりなので、少しばかり作り物っぽく感じたのが残念。 それにしても、物語の中で風間や田沢が見たニペソツ山をこの目で見たくて溜まらなくな…