下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

日本が階層社会化しつつあると感じることがあるけど、それを単に収入の多寡だけではなく人生に対する意欲も含めて層別化を試みている。その観点は面白かったけど、トピックスが多すぎてまとまりに欠けるし、データの絶対数が少ないしその扱いも強引すぎるなと感じつつ読み進めた。
著者があとがきでも言っているように、この本はまだまだ問題提起のレベルにあるような気がする。ぼくも、この本の内容に関しては賛否が半々ぐらいだった。
例えば、階層化の原因や対策、その影響や階層化社会を意識したマーケティングなどについてもっと議論や研究が必要なんじゃないかな。さらに言えば、著者が主張する上流・下流の区別の正しさも含めて検証されるべきだろうね。


下流社会とは直接関係ないけど、首都圏の中堅私立大の学生の出身地に関する話は興味深かった。かつて首都圏の大学は全国から学生を集める傾向があったけど、最近は沿線に住む家族の子供が集まるようになってきたそうだ。大学って様々なバックグラウンドを持つ学生が集まるところに価値があるのに、これじゃ高校の延長に過ぎないんじゃないかって気がするんだけど。
著者には、都市地政学って言うのかわからないけど、この点に踏み込んで本を書いてもらいたいな。


ちなみにこの本に出てくる分類を自分に当てはめてみあたら、新人類世代でLOHASグループになってしまった。なんとなく、ミョーに当てはまっているような気がした。

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)