第1回八ヶ岳スーパートレイル100マイル、100キロの部【レース編】

伝説になりそうなあのレースから1週間経ったけど、ようやくレース編をアップ出来そう。


スタートまで
いよいよ100キロレースの当日がやってきた。
4時過ぎに起き、昨日買っておいたごはんをいただく。
6時40分過ぎに宿の方が用意してくれたマイクロバスでスタート地点である清里に移動する。


まずは、ゴールと50キロ地点に送る荷物を預ける。
ここで、「熊鈴とライトは持っている?」と尋ねられた。装備チェックはこれで終わりみたい。


スタート時間まで清里駅付近でブラブラする。
予想以上に寒いから、ULシェルとトレントフライヤーを着たままスタートすることにした。


スタートから平沢峠のエイドまで
8時になり、100キロの部がスタートする。


清里駅からは下りになる。
スタートダッシュを決めて飛び出す。
が、2分ほど走ったら、前の集団が引き返してきた。どうやら最初の交差点を左折しなきゃダメみたい。
いきなりコースロスで、本日一回目の心折れ・・・


気を取り直して走る。
しばらく走り飯盛山の登山口に到着したんだけど、心配していた渋滞はない。
飯盛山のピークまではたんたんと登れた。
飯盛山のピークは噂通り360度の絶景が広がる。
でも、景色を楽しむ余裕はないので、首を一回して景色を見ただけで、下りに向かう。


さっと下って、トレイルが終わったところが平沢峠のエイドになる。
ここまでの経過時間は1時間1分ほど。
エイドなのにテーブルが出ているだけで、水も何もない・・・
まあ、エイドに頼る時間でもないし気にしない。


ここで、ちょっと暑くなってきたからトレントフライヤーを脱いでザックにしまう。


貯水池まで
平沢峠のエイドからしばらくはロードの下りが続く。
まだ、序盤だからそれほどペースを上げずに走る。


野辺山のJR最高点を過ぎた当たりから登りになる。
今日のレースプランでは林道と舗装路は登りでも歩かずに走ると決めていた。
舗装路の登りは割と余裕で走れたけど、林道に入ると斜度もきつくなってきた。
走っていても歩いていても、スピードは変わらなくなった。登り切る前に力尽き、歩き始めてしまった。


1時間39分ほどで貯水池のエイドに到着した。経過時間は2時間41分。
まずはトイレに入る。
それから、スポーツようかんを食べてエネルギーを補給する。


松原湖まで
エイドの後も200メートルほど登る。
20キロの標識を通過した当たりで、足が攣り始める。ちょっと早いけど漢方薬を投入した。


さらに数分走ると下りになった。
が、砂利道は走りにくく、足のダメージをどんどん増えていき、両足が攣ってしまった。
まだ、80キロ近く残っているかと思うと、心が折れる
ベスパを飲み、しばらくはごまかしつつ下っていく。


砂利道主体の林道が終わり、舗装路に入る頃になると足の攣りを気にせず走れるようになった。
でも、先は長いから無理してペースを上げない。


2時間39分ほどで、松原湖のエイドに到着した。経過時間は5時間19分ほど。
ここは関門でもあり、関門時間は6時間の設定なので、とりあえずセーフ。
ぼくの足で残り1時間を切っているから、やっぱりこの関門は厳しいと思う。


エイドにチーズサンドのようなお菓子が用意されていた。それを食べたら、けっこうお腹がいっぱいになったので、予定していたバーの補給は取りやめた。
お腹の調子がイマイチなのをここで気づくべきだった。


ここまでほぼ予定通りの時間配分できた。
この後の60キロは9時間で行くつもりなので、15時間は切れそうな気がした。
この予想はかなり甘かったことに、しばらくして気づかされることになる。


八千穂レイクまで
松原湖のエイドの先は、舗装路なんだけど、かなり急な登りになる。
そうこの斜度は都民の森手前の道路と同じくらい。
練習の成果を活かせるぞ、と思ったけど、もう走れない。
途中で、電信柱2本分は走って、次の1本は歩くなんてこともしたけど、かえってペースが乱れる。
後半はある程度以上の登りは歩くことに切り替える。


それにしても、この登りは長い。
1時間以上して、ようやく下り基調になる。
ゆるゆると走り、2時間6分ほどで八千穂レイクのエイドに到着した。経過時間は7時間26分ほど。


ここでドロップバッグを受け取った。
長袖Tシャツは用意していたけど、着替えなかった。
ただ、かなり冷えてきたんで、トレントフライヤーを再び着込むことにした。


バッグには固形食のクリームパンとおにぎりを入れておいた。
当初は両方食べるつもりだったけど、お腹が空いていないんでどちらかを食べることにする。
クリームパンを選んだんだけど、失敗だった。でも、それに気がつくのはまだ先・・・


ドロップバッグに入れておいた水1リットルをハイドレーションに補給し、このエイドでやることは終了した。
エイドに用意されていたたき火に強く惹かれるけど、一度あたると逃げ出せなくなりそうなので、無視して走り始める。


NHK受信所まで
次のエイドまではずっとロードの下りだったので、この区間は楽に走れた。
55分ほどでNHK受信所エイドに到着した。経過時間は8時間21分ほど。
16時を過ぎたので、ここのエイドでヘッドライトを装着し、ハンドライトを用意した。
ボランティアの人が次のエイドまで20キロですよと声をかけられた。もっと近いはずだと思ったけど、気にしない。


大河原峠まで
エイドを出るとトレイルの下りになる。
ここまで舗装路と砂利道が多かったから、トレイルは足に優しく感じた。
しばらく気持ちよく走っていたら、後からもの凄い足音が聞こえてきた。
100マイルのトップ選手がやってきた。
まるで、ロードレースのようなペースで駆け抜けていった。


下りきる手前で、短いけど沢渡の場所があった。
濡れると悲惨なんで、慎重に渡る。
後で聞いたら、かみさんはここで川に入ってしまい、それが原因でリタイアしたみたい・・・


30分ほどトレイルを下ると林道の登りになる。
いよいよ2000メートル上昇するこのレース最大の難所がやってきた。
もう無理はせずしっかりと歩くことに専念する。


Ambitの高度表示をチラチラ見るけど、いつまで経っても登りが終わらない。


1700メートルを超えた当たりから、ところどころ路面が凍っていたり、川沿いにつららがあったりとかなり冷え込んできた。
足もつらくなってきたけど、休むと凍えて動けなくなりそうなので、淡々と登っていく。


2000メートルを超えたところで、強いライトの明かりが見えてきた。
ようやくエイドかと思ったら、ガイドのボランティアの人がいただけ・・・しかも、エイドまで残り3キロと聞き、また心が折れる・・・
ただ、この先から走れるトレイルになり、10分ほど進むと舗装路に出た。
エイドが近い感じがした。


しかも、下りになったので、足取りも軽くなる。
しばらくしたら、ボランティアの声がした。
3時間23分ほどかけて大河原峠のエイドに到着した。経過時間は11時間45分ほど。


大河原峠のエイドは「すーぱーすぽるちば」のみなさんが運営していたんだけど、飲み物も食べ物も充実していた。
特に暖かい飲み物がうれしい。
ぼくも味噌汁をいただき、少しは体が休まる。


下りに備えて、アミノ酸とベスパを飲む。
さらに、エネルギー補給のためにチョコレートバーを食べた。


ホント温かいもてなしでずっと休んでいたいけど、先があるんでエイドを後にした。


女神湖まで
大河原峠エイドから先は舗装路の下りが続く。
ただ、このあたりは霧が強くNAOのリアクティブライティング・システムが上手く機能せず乱反射している感じがした。見通しがよくないので、ハンドライトに頼って走った。


しばらくしたら、急に胸焼けがひどくなりリバースする。
胃がかなり疲れているみたい。そんな状態でチョコバーを食べたんで一気に調子が悪くなった。
もう一回リバースしたけど、その後は走れる程度に回復した。
ただ、固形物やジェルは受け付けなくなってしまった。
ここまでのエネルギーで走りきるしかないか・・・


6キロほど走ると舗装路が終わり、スキー場に入る。
最初はシングルトラックのトレイルで、後半は広いゲレンデに出る。
ゲレンデは開放感があり気持ちがいい。アルプスの少女ハイジのように転がり落ちたくなる。
が、伸び放題の草が足に絡まり、走りにくい。


ゲレンデを下りきると女神湖の湖畔になる。
ちょっと先にエイドの灯りが見えるけど、湖畔を3/4周しなきゃダメとのこと。
ほんの数分のことなんだけど、ちょっとだけ心が折れた。


1時間42分ほどで女神湖のエイドに到着した。経過時間は13時間27分ほど。


事前の説明で女神湖のエイドは飲食物が充実していると聞いていたけど、確かに色々と用意されていた。
おにぎりを勧められたけどとても食べれる状態じゃないから、豚汁だけいただくことにした。


ここで、携帯を取りだしてメールをチェックした。
かみさんは大河原峠でリタイアしたみたい。この寒さならしょうがないか。
で、時間を見ると、Ambitより20分近く進んでいた(・O・;
と言うことは、もう残り3時間半を切っていることに気がついた。
大急ぎで支度をしてエイドを飛び出す。


白樺湖まで
女神湖のエイドから白樺湖のエイドまでは7キロと聞いていた。
下り基調のロードだから、その後の八子ヶ峰越えがポイントと思っていた。


ロードだからしっかり走っていたつもりなのに、なかなか次のエイドが見えない。
前を走っていた女性も気になっていたみたいで、ペースを落としてぼくに話しかけてきた。
つい道に迷ってしまったのか気になる。


1時間5分ほどで白樺湖のエイドに到着した。経過時間は14時間34分ほど。
女神湖のエイドで10分は休んだにしても、7キロに50分以上かかっている。
ちゃんと走れているつもりなんだけど、思った以上に疲れているみたい。


ここのエイドでは、ベスパとアミノ酸の補給だけをする。


ゴールまで
白樺湖のエイドからゴールまでは10.8キロでほとんどがトレイルとのこと。
登りが1時間半で、下りが1時間という予想なだけど、それだと制限時間に間に合わない。
不安だけど、悩んでも仕方がないんで、エイドを出発する。


エイドを出ると、まずはゲレンデの登りになる。
単独で見ると大した山じゃないんだけど、100キロ近く走った身にはかなりしんどい。
ちょうど前に4人ほどの集団があるんで。彼らについていくことにした。


途中の砂利道をはさみ、2つのゲレンデを登り切ると、100キロの標識があった。100キロの部なのに、まだ先があるってことなのね(__;)
このあたりから一本調子の上り坂が終わり、走れるトレイル+小ピークのミックスコースになる。
走れる所で集団がばらけてしまい、前の人と二人の集団になった。


いくつかの小ピークを越えるとようやく下り基調になった。
それなりにテクニカルな感じだけど、走れないことはない。
ただ、岩場で落ち葉が積もっているから、がっつりは飛ばせない。


でも、下りになってうれしくなったのか少しペースアップしたみたいで、前の人が道を譲ってくれた。
ここからは一人になる。
先頭に立ったら、ライトが暗くなったのに気がついた。
ハンドライトの電池交換が必要な感じだけど、時間が惜しいのでそのまま押し切ることにした。
しばらくしたら、ガイドのボランティアの人がいたので、残りの距離を聞いてみた。
後3キロとのこと。時間を見ると残り40分。かなり微妙。
でも、悩んでもしょうがないから、走ることにする。


10分ほどすると、トレイルが終わりロードになる。
後からやってきた人と、もうトレイルがなければ間に合うよねと励まし合う。
それでも不安なので、がんばって走る。


さらに10分ほどすると広い道路が見えてきた。どうやらビーナスラインに出たみたい。
ここで、ギャラリーの人から後500メートルですよと声をかけられた。
時計を見ると残り15分ある。
ようやくここで完走を確信した。
登りなので、歩くことにした。


ここでryuzoさんと併走というか一緒に歩くことになった。
お互いに完走できた喜びを交わし合う。


ゴール手前でryuzoさんに先を譲ってもらい、走ってゴールを駆け抜けた。
ゴールタイムは、16時間50分ほどで、制限時間まで残り10分。


ゴール後
ゴールするとすぐに完走証を受け取った。
ひどい順位だろうと思ってみたら、総合で50番台の前半・・・残り10分だというのに2割ぐらいしかゴールしていないんだ。
タフなコース設定だっただね。


荷物を探していると、リタイアしたかみさんが迎えに着てくれた。
疲れているだけに顔を見たらほっとした。


選手控え所で一休みした後、かみさんが運転する車で今夜止まる宿に向かう。
着いたら宿の人が出迎えてくれた。
レースとしては色々思いはあるけど、地元の人たちのホスピタリティに接し、イヤな思いは消えてしまった。


待望の温泉に入り、体を温める。
お風呂から出て、ビールを一口飲んだけど、疲れた胃には美味しく感じなかった。
完走の美酒は明日までお預けか(^_^;